笑うベートーヴェン」 (13)


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    さてさて前回は、サンシモンの話題でBeBeちゃんは一人で盛り上がって
     いたようですが 私も現実に新世界を体験してきた男としての価値は
     大いに認めますが、むしろ彼が気付いていない危険があると指摘した
     いですね。 アンシャンレジーム(第三身分)のことです。


    これは彼の母国フランスの法律なのでウイーンには関係ないことと
    考えがちですが それに「自由」「平等」「博愛」といった崇高な目的の
    ために悪と戦うのだから革命を成し遂げようとの意識があるんだけども
    現実にはフランク人とガリア人の対立抗争の色合いが濃いんだ。
    歴史的に見ても人種問題が絡んだ抗争が一番残酷なものになるんだ。
    これは特定の時代や国や地域に限ったことじゃない。

    「 田舎暮らしの栄光 」という言葉があるんだけど、例えばこんな例だ。  
    ブルターニュ地方の修道会は「清貧」「瞑想」「勤労」を日々の目標に
    して生活しているから、 そこでは農民層との対立なんてないんだ。
    そこへ都会で落ちこぼれた民衆が「革命思想をナマかじりした「革命バカ」
    となってなだれ込んできたらどうなると思う?   
    こんなことになったら豊かな大地と人間との強い関係まで破壊尽くされて
    修復不可能になってしまうだろう。
   
 BeBe:

    そうなんですね。実は私の兄もそのことに関しては強い危機感を感じていて
    「ゴッケル物語」というお話を書いて世間に訴えようとしているんです。
    だけど 子供向けの童話と思われてしまっているのでそこが兄としては
    面白くないみたいです。
    本当は自然と人間と動物、それに加えて時間までも神の前では
    はっきりと固定されたものではないんだと訴えたいみたいなんですが
    残念ながらゲーテパパほどの才能がちょっと不足気味というか・・・

 L: 

    兄さんといえば今、週刊誌で話題になっているクレメンス君のこと?
    どうなの、あの問題は?

 BeBe:

    ちょっとやめてくださいよ。 確かに身内としては深刻なんですけど
    普通ここで言います?  ダメでしょそれは!

 L: 

    じゃあまた。 次回お会いしましょう。 ごきげんよう。

 BeBe:

    じゃあって、なんだよ! おい、こらーっ!